【全5回】にわたって解説!
以下のような流れでご紹介している、改訂版の構築・運用指針の具体的な実施ポイントや変更点の解説。
・Vol1:J.1~J.3
・Vol2:J.4~7
・Vol3:J.8~J.8.7
・Vol4:J.8.8~J.8.10
・Vol5:J.9~J.11
今回は、Vol4となる【J.8.8~J.8.10】の項目。
Vol3の【J.8.1~J.8.7】に引き続き、個人情報の取得・利用及び提供に関するパートです。
・第三者提供をするとき
・匿名加工情報/仮名加工情報の取扱い
などの内容になっています。
大切な個人情報を事故なく適切に取り扱うために、しっかりと確認していきましょう。
目次
- J.8.8 個人データの提供に関する措置
- J.8.8.1 外国にある第三者への提供の制限
- J.8.8.2 第三者提供に係る記録の作成など
- J.8.8.3 第三者提供を受ける際の確認等
- J.8.8.4 個人関連情報の第三者提供の制限など
- J.8.9 匿名加工情報
- J.8.10 仮名加工情報
概要
個人データを第三者に提供する場合、自分の情報がどこから・どのように取得されたのかを明確にするため、原則として、あらかじめ必要事項(J.8.5のa)~d)に示す事項及び取得方法)を通知し、本人の同意を得ることを求めるもの。
・本人に通知し、又は本人の同意を必要としないのは、定められた例外事項(J.8.8のa)~i)の事項)に限定すること。
【整備すべき規定類】
・本人への通知書面
・本人の同意書面
・個人情報の特定に関する記録
・共同利用に関する契約
■項目No.2 b)の修正
→原則個人情報保護法通りの対応を求める形に修正(一部上乗せを維持している箇所あり)
■項目No.2 b)の修正((8)の内容を具体化し(8)(9)として修正)
→個人情報保護委員会規則で定められている内容を具体的に示したものであり、求める内容に変更はない。
■項目No.2 c)の修正(「法人その他の団体…」の削除)
→JISの内容に合わせたもの
■項目No.2の修正(従来のf)を削除し、新たにf)~i)を追加)
→J.8.3a)~d)又はJ.8.3j)~i)のいずれかに該当する場合と記載していたものを、各項目を明記する形に修正したもので、求める内容に変更はない。
■項目No.3の削除(「※要配慮個人情報とは…を求めている」)
→項目No.2のb)の修正に伴う対応であり、求める内容に変更はなし
概要
外国にある第三者に個人データを提供するとき、原則としてJ.8.8.1のa)~c)のいずれかを満たすとともに、それぞれのケースにおいて必要な対応を求めるもの。
・外国にある第三者に該当するかどうかは、個人データを提供する個人情報取扱事業者と別の法人格を有するかで判断する。・あらかじめ本人から同意を得て、外国にある第三者に個人データを提供する場合(J.8.8.1のa)の場合)は、必要な情報(J.8.8.1のd)~i)の事項)を本人に提供すること。
・個人情報保護委員会規則で定める基準に適合する体制を整備している外国にある第三者に個人情報を提供する場合(J.8.8.1のb)の場合)は、必要な措置(J.8.8.1のi)~l)の事項)を講じること。
・J.8.8.1のl)で本人の求めにかっかる情報を提供しない旨の決定をした場合、本人に遅滞なく通知し、その理由を説明すること。
【整備すべき規定類】
・本人の同意書面
・個人情報の特定に関する記録
■項目No.1の修正「f)J.8.3のa)~d)、又はj)~i)のいずれか)」→J.8.8のf)~l)のいずれか」
→J.8.8個人データの提供に関する措置のただし書きが適用されることを明確にしたものであり、求める内容に変更ははない。
■留意事項の修正(e)は…情報提供することが望ましい」を追加)
→JISの内容に合わせたもので、求める内容に変更はない。
概要
個人データを第三者に提供した場合、必要な記録の作成・保管を求めるもの。
・個人データの第三者提供の記録の作成を要しないのは、定められた例外事項(J.8.8.2のa)~j)の事項)に該当する場合に限定すること。
・個人データの第三者提供の記録は、必要な期間保管すること。
・個人データを提供したときに、提供先が実施する第三者提供を受ける際の確認等に対し、適切に応じること。
【整備すべき規定類】
・第三者提供記録
■項目No.2c)の修正「個人データを共同利用している場合…」→「J.8.7のd)によって、特定の者との間で…」
→本指針の共同利用する場合の要求事項に準じることを明確にしたもので、求める内容に変更はない。
概要
個人データを第三者に提供を受ける場合、必要な確認及び必要な記録の作成・保管を求めるもの。
【整備すべき規定類】
・第三者提供を実施した際に作成した記録
■項目No.2c)の修正「個人データを共同利用している場合…」→「J.8.7のd)によって、特定の者との間で…」
→本指針の共同利用する場合の要求事項に準じることを明確にしたもので、求める内容に変更はない。
■留意事項の追加「※記録にあたっては…」
→JISの表現に合わせたもので、求める内容に変更はない。
概要
第三者が個人関連情報を個人データとして取得することが想定される場合、提供元もしくは提供先があらかじめ本人に対して個人関連情報の提供に関する事項を通知又は明示し、同意を得るとともに、必要事項について確認することを求めるもの。
【整備すべき規定類】
・個人情報の取得、利用及び提供に関する規定
・個人関連情報の確認記録
■項目No.1の修正(「個人関連情報を取り扱う場合には…内部規定として文書化すること」を削除)
→JISの改正に合わせたもの。構築・運用指針では、J.4.5.4内部規定において規定化を求めており、求める内容に変化はありません。
■項目No.1の修正(「第三者が個人関連情報を個人データとして取得することが想定される場合、次に示す事項又はそれと同等以上の事項を、あらかじめ、本人に対して通知又は明示し、本人が識別される個人データとして取得することを認める旨の同意を得ること。≪同意を取得する主体が個人関連情報の提供先である場合に、提供先が本人に対して通知又は明示する事項≫1)…≪同意を取得する主体が個人関連情報の提供元である場合に、提供元が本人に対して通知又は明示する事項≫1)…」を追加)
→JISの表現に合わせたもので、個人情報保護法で要求する内容に対する上乗せ事項となる。なお構築・運用指針では分かりやすさを重視し、「提供先が主体の場合」「提供元が主体の場合」それぞれの立場によって分けて通知事項を記載している。
概要
匿名加工情報を取り扱う場合は、法令等の定めるところによって、適切な取扱いを行う手順を定めて運用することを求めるもの。
【整備すべき規定類】
・個人情報の取得、利用及び提供に関する規定
■留意事項の追加(「※b)の加工方法等情報のうち…)
→JISの改正に合わせたもの。さらに加工方法等情報のうち、その情報を用いて当該個人情報を復元することができるものについては、匿名加工情報の作成後は破棄する必要があることを明確に記載した。
概要
仮名加工情報を取り扱う場合は、本人の権利利益に配慮し、かつ、法令等の定めるところによって、適切な取扱いを行う手順を定めて運用することを求めるもの。
・仮名加工情報を漏えい等した場合、J.4.4.2緊急事態への準備に基づいて対応すること。
・仮名加工情報が個人情報であるか否かにかかわらず、J.9.2安全管理措置、J.9.3従業者の監督、J.9.4委託先の監督、J.11.1苦情及び相談への対応を踏まえて対応すること。
【整備すべき規定類】
・個人情報の取得、利用及び提供に関する規定
・個人情報の適正管理に関する規定に定めた記録
■項目No.1の追加(「仮名加工情報の取扱いを行うか否かの方針を定めること」)
→JISの改正に合わせたもの。J.8.9匿名加工情報と同様の構成。
■項目No.6の修正(「…仮名加工情報である個人データを…」→「…以下の場合に限定すること」)
→e)~h)の適用対象が、全ての仮名加工情報に適用されることから修正したもの
■項目No.6 f)の修正(「…共同して利用され…本人が容易に知り得る状態に置く場合」→「…適法かつ公正な手段によって、共同して利用され…契約によって定めているとき」)
→構築・運用指針おける共同して利用する場合の要求事項に準じることを明確に表現したもの。留意事項に追記した内容も同様である。
■留意事項の追加(「※仮名加工情報が個人情報であるか否かに関わらず…」)
→法令で求められる内容を明確にしたもので、求める内容に変更はない。
今回は、【J.8.8~J.8.10】の構築・運用指針の項目について解説しました。
「匿名加工情報?仮名加工情報って?」といった、用語の部分についても解説を入れておりますので、参考になりますと幸いです。
次回は、ついに最後のVol5となる【J.9~J.11】の項目解説をしますので、ぜひご覧ください。
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この記事を書いたのは、株式会社Runway-labo.で情シスのアシスタントをしているAnya。趣味はピラティスで身体を動かした後に餃子とハイボール片手に昼飲み。そしてコナン君をこよなく愛する。